村上 嘉康
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家相について  -2010.09.07-
  家相という言葉を聞かれたり、家相図なる絵を御覧になった事があろうかと思います。
 家相というものは江戸時代中期頃に出来上がった考え方のようで、その後徐々に
 変化してきたものと聞きます。
  日本(特に本州)独特の夏の高温多湿、冬の低温乾燥季節風の自然に逆らわずといった
 発想で色々と項目を考えていった結果を表しているのではないかと思います。確かに昔の
 汲取り式便所などが夏の恒常風の風上に配置されれば家の中はいやな臭いが篭るでしょうし
 火場と言われた薪を燃して食事を作ったカマドが冬の季節風の風上にあれば、もし火が他に
 燃え移ったら家全体があっという間に燃えてしまうでしょう。そのような事を防ぐ為の戒めでも
 あったのではないかと、私などは考えてしまいます。
  今の時代は水洗設備が普及し、しかも各住設メーカーの努力工夫により便所が決して
 不浄の場所ではなくなり、むしろ綺麗な場所になりました。台所にしても新築では主流になりつつある
 オール電化住宅の代表選手であるIHクッキングヒーターのおかげで、コンロが火の元になる確立は
 かなり減少してきました。しかしながら、今の高い技術でクリアできる事柄も多々あるとは言いながらも
 やはり、昔の人達が自然と相談しながら考えてきた事に真っ向から逆らわない方が良いのでは
 ないだろうかと思っています。
  私の事務所はメインの仕事が住宅の設計であり、私自身も素材として好きな事から木造住宅が
 仕事の主流になっています。
  そうなると、必然的に家相を昔の事と無視できなくなり、クライアントから説明を求められるか否かは
 別にして、必ず自身の基本設計時に最低限のモラルとして、意識しながらチェックするように
 しています。
  家相図を見ると円の一周360°を24分割して15°単位で方位を分け、この方位に何々が
 あると大吉であるとか、この方位に何々があると大凶であるとか、文献によっては家が繁盛するとか
 主人に災いが起こるとか辛辣な表現のものもあります。
  因みにこの15°単位の方角が、昔の方が言われる 何々の方角とか、何々の刻というものです。
  よく聞く言葉で鬼門というものがあります。北東の方位を中心に先程申し上げた15°分が三つ
 つまり45°分が表鬼門と呼ばれるもので、その真反対南西の方位を中心に45°分が裏鬼門と
 呼ばれる範囲になります。
  両鬼門内には、玄関、仏壇、神棚、水場(台所、浴室、便所)などは大凶、もしくは凶とされています。
 その他の方位ヶ所は、文献によってここにこれを設置して良い場合もあれば、反対にダメとなって
 いる場合もあり、解釈により違いがあるように思われます。
  あまり家相にこだわり過ぎても楽しいプランが出来なくなる場合もありますので、両鬼門以外で
 文献内容と合致しない場合は、今の技術でと言い聞かせおおらかになる場合もあって良いのでは
 ないでしょうか。
            


  
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