村上 嘉康
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改修工事について〜1  -2010.09.09-
  改修工事について事例を踏まえてお話しようと思います。
 最近では改修工事と言わずリフォーム工事と言われるようになって久しくなりました。
  一般にはリフォーム工事というと汚れてしまった部位を綺麗にする事がイコールに
 なっているようです。
  例えば屋根、外壁等、外部ならば塗装工事をして化粧し直す事がメインとなります。
 内部であれば、まず老朽化した水廻りの住器設備を取替えて壁紙等内装を貼替えて
 綺麗にするといった具合かと思います。
  それらの工事が改修工事のメインになる訳ですが、折角予算を掛けられるならば以下の事も
 考慮されてみてはいかがでしょうか?
  一つ目はバリアフリー仕様にできる限り近ずける事。具体的には改修を施そうとしている
 部屋の出入口は段差なく平らにする事。次に各室出入口がドアであれば引戸に変える事。
 そして、玄関、階段、便所に手摺を設置する事。以上の項目は引戸を除いて新築住宅では
 当り前の事になりましたが、調査仕事で伺った既存の住宅では、手摺を付けておられるケースは
 たまに拝見する程度で、バリアフリー仕様対応はまだまだ行き届いていないのが現状のようです。
  引戸に関しては、障害を持っている方々の御意見を伺うとドアよりはるかに使い勝手が良いと
 いう事からです。日本の住宅は廊下幅も狭く、各居室も決して広いとはいえません。
 そのような中で日本独特の引戸という物は優れものと思います。予算、工事納まりの条件さえ
 整えば試されてみてはいかがでしょうか?
  因みに当事務所で新築工事の設計をさせて頂く場合は、玄関出入口、勝手出入口、物入収納扉
 以外の開口部はすべて引戸に限定しています。
  -Msお知らせ-の耐震補強でもお話したように、何かをしようとする時は必ず予算が絡みます。
 一番もったいないと思われる事は、ついでにできる事が後回しでいいかと、やらずに後で単独で
 工事をして結果高くついてしまう事ではないでしょうか。
  そして二つ目は耐震補強と腐食しているヶ所を修理するといった事ではないでしょうか。
 バリアフリーも耐震補強もリフォームの一部であると考慮して頂けると良い結果が出せるのでは
 ないでしょうか。あたり前と思われる事が、調査仕事で伺うと残念ながら、やられていない事例が
 多く見受けられる現状でもあります。
  下の写真は築30年以上の中古住宅を買う事を検討されていたクライアントから御相談を頂き
 正式購入前に調査をして御一緒に買って良いものか否かを検討し、耐震補強とバリアフリーと
 改修を設計させて頂いた事例です。一階の間取りは6帖和室、8帖洋室居間、6帖の台所、他に
 水廻りといった典型的な住宅間取りでした。クライアントからは当事務所の発想におまかせ頂く事で
 計画をさせて頂きましたが、来客が多い事から一階をフレキシブルに使用できないかという事でした。

  そこで、和室〜洋室の下壁を撤去し、先程お話しました
 引戸(天井まで)で壁が動くという発想で下の写真のように
 計画してみました。
  下の中央写真の(右回転扉)は来客が宿泊されたりする時に
 個室にする為、動く壁として考えている物で通常の生活では、
 開いた状態となっています。

  下壁の有無で空間に広がりを出す事ができる事例です。
       改修工事前の状況
     改修工事後建具全開状態      改修工事後建具半開状態(右回転扉)      改修工事後建具を閉じた状態
  築何十年の建物でよくある事が、床下の土のレベルよりも外廻りの地面の方が上がってしまっており
 結果床下が湿気の影響でカビ臭かったり、最悪は木材が腐食している場合があります。
  上の改修工事前の状況写真で畳を浮かせてあるのは床下の湿気で畳がふやけてしまい
 乾かす為に、取り合えずクライアントがカイモノをして畳を浮かせている状態です。
  その事についての対処方法を含めて、この建物改修工事を次回以降御紹介していきたいと思います。


  
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