村上 嘉康
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改修工事について〜2  -2010.09.13-
  戦後、何LDKという表現で住宅はひたすら建てられてきました。住宅を商品として
 販売する時に大変便利な表現なので使われてきたと思います。現在では一般の方が
 通常の会話で使用されている言葉の一つになっています。
  調査仕事で伺う建物は全てその表現に当てはまる形態になっています。つまり各室が何帖単位で
 単独のスペースで成立しています。しかしながら、出来上がって30年程経過したお宅では
 子供さんが独立され御夫婦お二人で生活されておられるケースが多い状況を目にします。
  その時に、子供さんが使っておられた、かつての6帖程の子供室は決まって
 物置部屋になっているケースを多く見受けます。基本的に全体の面積が土地事情から大きくは
 取れない訳ですから、部屋を区切って数を増やすとなれば、一つの部屋の大きさの基準が4.5帖
 もしくは6帖、広くても8帖といった間取りをよく見受けます。
  改修工事を計画される時に、その辺りに目を向けられると、同じ面積であった空間がまるで違った
 空間になるかと思います。使い勝手もきっと良くなり、先程お話した家族構成が変わっていく過程で
 使わずに無駄になるスペースが減るであろうと考えています。
  日本には伝統的民家造りに田の字プランという物があります。私は家族構成が変わっても
 長く住み継がれるヒントが田の字プランにあると思っています。今風に言うとフレキシブルに
 生活パターンの変化に対応できる工夫だと考えています。
  個室としても襖、障子等で仕切る事で対応でき、それをはずせば大きな空間も確保できる。
 そのような事を考え、下の写真の改修計画を考えました。余分な仕切りは撤去し、構造は確保し
 引戸(引込み戸)で空間を仕切る事に対応していく考えで進めてみました。
  基本構想の根底には田の字プランを意識していたのだと思っています。
     
          改修工事前台所から居間を見た状況            改修工事後台所から居間を見た状況
     
          改修工事前居間から台所を見た状況            改修工事後居間から台所を見た状況
  この住宅における改修工事は調査の段階で住器設備は確かに古い型式のものでしたが、前に
 お住まいの方が綺麗に使っておられた為に、取替える事で予算を費やす事はやめにし、台所製品
 浴室、洗面化粧台、便器等は全て悪くなった部品のみ交換しただけの事例です。
  床はなるべく素足で過ごしたいという御希望から足触りを考えコルクタイル貼で仕上げています。


  
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