村上 嘉康
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改修工事について〜4  -2010.09.17-
  改修工事について〜1 の最後にお伝えしましたように築何十年かすると床下の土レベルが
 外周の敷地の土レベルより下がっている場合が多くの事例としてあります。この建物もその事例の
 一つです。特に前に住んでおられた方が園芸がお好きだったようで、徐々に土を盛っていった結果
 床下の土レベルよりも、外の土レベルが15cm程高くなっていました。
  当然の事ながら外の湿気は床下に廻り、床下は一面カビが生えており独特の臭いが充満して
 いました。なのに腐食がなかった原因の一つにこの建物の土台に栗の木が使用されていた事で
 あったと思います。これは驚きでした。栗の木は、御存知の方もおられると思いますが、鉄道の
 枕木に使われていた木材で、虫害や腐食に滅法強い木材です。今の時代では国内材としては
 なかなか手に入らない材料であると思います。
  この事も一つの要因としてクライアントは中古住宅として購入された訳です。それでも湿気は常に
 廻ってきますので、対処方法としてはクライアント自ら、工事着手前に敷地の土を掻き出しました。
 理想は建物内より5cm以上低くしたいのですが、そこまで削りますと道路より低くなってしまいます。
 道路も舗装工事等で徐々にレベルが上がっている事が多々あります。したがって、道路よりは高く
 結果的には建物床下よりも、やや高いレベルでの削り取りで止めということにしました。
  下の写真は残った庭にブロックで縁取を施し、境界際に土を入れ庭レベルを建物内の床レベルまで
 上げ、干渉地帯にデッキを造った状態です。一度地面に降りずに室内レベルから庭土に行けますので
 完成後、クライアントからは使い安いとお褒めの言葉を頂きました。デッキ下はデッキを何ヶ所か
 開くようにして外用の物が収納できるようにしてあります。もちろん周囲から小動物が入らないように
 金網で囲ってあります。
   
  改修工事前の庭の状況   改修工事後のデッキ、庭の状況  改修工事前の庭の状況  改修工事後のデッキ、庭の状況
 床下の湿気を防ぐ方法は色々な製品があります。機械的には
床下に換気扇を取り付ける方法がありますが、当事務所としては
機械そのものの寿命、管理、雨季に常に外の湿気を含んだ
空気を流入させる事等考えると、あまりお薦めしておりません。
 古くから床下に炭を敷く方法があります。これは効果的では
ありますが、備長炭はコストがかかります。いくつか検討した結果
富士シシリア化学工業(株)の調湿剤をお薦めしています。
 過去20件程、施工例がありますが、後日調査に伺っても床下の
かび臭さは消えていますし、木材もカサカサといった状態になって
います。施工は作業する方が数名床下に潜り、ゴミを取出し土を
ならし防湿フィルムを敷き、あとは調湿剤を撒くという作業です。
     床下に調湿剤施工をした状況   
  この製品の良いところは、もともと食品に使用されるシリカゲルを熱処理し湿気を給排出
 できるようにし、半永久に効果が持続できる事、そして人が口にしても害が無いというところです。
 その他幾つかの興味深い効果もあります。テレビの特集でも過去何度か放映されていました。
  改修工事の設計に入る時にいつも悩む事が、クライアントが図面等の資料を紛失されている事が
 多いことです。できうる限り元の図面、リフォームされた場合はリフォーム図面、その他構造図面
 工事写真等を含めた資料を保管して頂く事が次の代の方にも大切な御土産になります。工事を
 担当された工務店さん等がもし、完成引渡し時に上記の資料提出をお忘れになっていたりした場合は
 要求して頂けると良いと思います。中古住宅を購入される場合も同様にお考え頂くと良いと思います。
  以上、当事務所でやらせて頂いた改修工事事例を4回に分けて御報告いたしましたが、何かの
 参考にして頂ければ幸いです。


  
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