村上 嘉康
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設計、デザインについて〜アーキテクチャとエンジニアリング  -2010.11.04-
  建築学全般についていつも結論が出てこない言葉があります。
 一般的には、アーキテクチャ〜建築学、建築様式と言われていて、かたや
 エンジニアリング〜工学-建築構造、建築環境、建築設備という分類になっていると言われる
 アーキテクチャとエンジニアリング、この二つの言葉です。
  何故、お知らせの中にこのような抽象的な手記を入れたかと言いますと、日本でいう建築設計は
 一体どちらに入るのか、はたまたどこかに線引きがあって使い分けられているのか、私自身が
 いつもわからずに思っているからなのです。
  この手記を御覧になっている方で「こう考えるよ。」という御意見があったら是非とも教えて
 頂きたい課題です。
  日本の教育の中では建築は工学部に属している場合がほとんどで理系という見方をされています。
 もちろん私もその環境の中で育ってきた一人ではあります。世間一般の認識はどちらかというと
 技術系すなわちエンジニアリング色の濃い分野のような気がしています。
  但し、大学時代から教授、先輩、同級生の方々からもよく言われ、自分自身でも感じていましたが
 意匠、デザインの部門はどう考えても理系ではないなと思います。そうは言いながらも文系とは
 言えない内容も多々あります。そのような事が頭の中で渦を巻いている為に、いつまでも結論が
 出ずに、かと言って長時間議論する事でもないしといった具合で今の今まできているようです。
  建築そのものが分業制になってきている中、一つの建築物を造る場合でも色々な専門分野の
 人達が参加して造っていきます。
  そのような事から、私はアーキテクチャはデザイン意匠、エンジニアリングは緻密な計算を必要とする
 構造、設備と自身の意識の中では、うっすらと分類するようになってきました。
  そしてこれらの要素が一つでも欠けたら、まともな建築はできないと思うようになりました。
  欧米では有名な建築が紹介される時は、設計者の名前がまず最初に紹介されます。片や日本では
 どちらかというと、施主(資本を提供したクライアントや時の権力者)が紹介される事が慣習に
 なっているように思います。私個人の考えですが、ここに建築全般における欧米的なアーキテクチャと
 日本的なエンジニアリングの表現の違いがあるように思っています。
  これからの建築は規模の大小に係わらず、アーキテクチャとエンジニアリングのどちらも兼ね備えた
 意識をもって両立できるようになる事が大切な事かと思います。昔の建築でいう棟梁と言われる
 方達のように意匠感覚にも優れていて、かつそれを具現化できる技術を擁しそれらの事をいつも
 向上心を持って研賛し、そして人心を掌握して物造りを進めていくという理想形です。
 
  現在は法律的にも、経済的にも建築を造っていく事は徐々に難易度が増してきています。なかなか
 理想形を追い求めて物造りをしていく事が難しい時代になっている事は間違いないと思いますが 
 少しでもその中に活路を見出せないものかと考える今日この頃です。


  
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