村上 嘉康
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設計、デザインについて〜自然素材について:2  -2010.11.18-
  当事務所でも設計させて頂く建物の基本仕様は自然素材と考えています。しかしながら
 全てを本来でいう自然素材で固めていった場合、とても一般住宅コストで仕上がらなくなって
 しまう事も又事実です。
  したがってコストを考慮していった時には残念ながら工業製品を使用するケースも多々
 あります。構造材についても見えるヶ所に集成梁を使用するような事はしませんが、見えなく
 なるヶ所には使用する場合もあります。
  そのような観点から私は自身の設計する建物の仕様を自然素材という言い方よりも
 生材(きざい)仕様と考えるようにしています。つまりはそのものの飾りが入っていない仕様
 例えばコンクリートブロックとか合板などは一次製品と言われ、あまりそのものを表面に
 出されないような物ですが、綺麗に仕上げれば機能が前面に出ている製品ですので
 とても力強く感じます。そのような観点からです。
             
  構造材、下地材、造作材全てを栃木県産材桧、杉で     構造材、下地材、造作材全てを静岡県産材桧で
  造っていますが、耐震対策の外部はコスト面から       造っていますが、化粧剛床はサンダー掛合板貼で
  構造用合板貼で施工しています。                  施工しています。壁断熱材はセルローズファイバー。
       
 地元での木材調達が上手にできる        ケナフという植物を原料にした     INAXのエコカラットという調湿と
場合は剛床合板を使わずに30mm厚板を     耐震用のボードです。素材は     脱臭効果に優れた工業製品です。
1階天井兼用の捨床に使い、仕上げは       自然素材ですが、工業製品です。 
30mm厚床板を貼っています。
 この総厚60mm無垢床仕様の場合は
100%自然素材となります。
  自然素材は湿気を吸ったり吐いたりといった調湿効果を持っていて、見た目感触もやさしく
 穏やかな気持ちにさせてくれるといった効果がある事は間違いないと思いますが、長所だけでは
 なく、その性質上工業製品のようにおとなしくしていてくれない場合がよくあります。
  湿気をもらえば膨らみ、乾燥すれば痩せ、その繰り返しをしながら隙間ができたり、時には
 割れたりといった表情を見せます。当然、事前に木材を乾燥させていますから、どこもかしこも
 そうなるわけではないものの、意表をつくように症状が出たりします。この事を事前に設計者で 
 あったり施工者から説明を受け、理解ができない場合はお使いにならない方が良い場合も
 あるかもしれません。
  私がクライアントによくお話させて頂く事なのですが、工業製品は出来上がった時が一番
 綺麗な状態で、自然素材で造った物は出来上がった時は確かに新しいけれども、経年変化と共に
 美しさが出てくる物で、美しさを出す為には住んでいる方の手入れがあって初めて出てくるものでは
 ないでしょうかという事です。ここが一番違う所ではないかと思うところです。
  そのような事を理解して頂ける方は是非共、自然素材中心の建築をお薦めしたいと思います。


  
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