村上 嘉康
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火災について〜1  -2010.12.09-
  今年の1月29日夜中の3時近くに近所で火災がありました。近所といっても、お隣のお宅に
 接している北側4m公道の向いの住宅です。つまり2軒隣りの家という事になるでしょうか。
  当時、私の長男が大学受験でたまたま起きていて自分の部屋の窓から火災を発見し
 寝ていた家内と私に知らせて、既に2階全てと1階の半分が炎に包まれていた建物から
 一人住まいのお婆ちゃんを助け出して、救急隊が来るまで私の家で手当てしながら、
 消防に連絡したり、近所に声掛けたりと大騒ぎの夜でした。
  あの日は真冬の夜中にかかわらず、比較的冷え込みもなく、何よりも冬の季節風がない
 静かな夜であった事を覚えています。もし、普段のように冬の季節風がある日でしたら
 私の事務所兼住宅を含めこの辺り一帯に火が廻ったでしょうから、それを思うと不幸中の幸いと
 考えて良かったのかと思います。
 
  通報してから消防車が到着して消化活動が始まるまで10分か15分か?それ位の時間かと
 思いますが炎がどんどんと大きくなっていく中で、なすすべもなく待っている時は随分と長く 
 感じました。
  そのような状況下で建築をやっている人間のいやらしさといいましょうか、火災での周辺への
 被害の拡がりを意外と冷静に観察してしまいました。
  過去、火災実験等に立ち会ったりして建物が燃えていく状況というものは何度かこの目で
 見てきた事はありますが、それは単体の建物を準備万端で見学するという精神状態で見て
 いましたので、現実の延焼も供なう火災とはやはり違うものがありました。
  当日は、ほぼ無風で炎が風で煽られる事なくその熱だけで4m公道を挟んだ私の家の隣家
 2軒のお宅の北面が被害を受けました。残念ながら境界を挟んだ東西両脇のお宅2軒は
 西側の古い板貼外壁の木造住宅は、まともに炎を受けほぼ全焼、一方東側のお宅は
 大手ハウスメーカーの不燃仕様が幸いして延焼しなかったものの、炎で煽られその面は
 相当なダメージを受けました。
  そして私の自宅の隣家2軒は、火元のお宅の南が奥行3m程の庭がありましたので炎が
 巻き込んでいる2階軒先先端からで約9m程の距離で、炎に煽られずその熱のみで、まず最初に
 2階の塩ビ製の雨樋が飴のようにドロッと溶け始め、次にエアコン配管カバーの
 スリムダクト(これも塩ビ製です。)と縦樋がほぼ同時に同じようにドロッと溶け始めました。
  それから間もなく、モルタル外壁の塗装膜がプクッとあちらこちらから膨れ出していきました。
 置いてあった車もヘッドライトが溶け出しボンネットの塗装は外壁の塗幕と同様にプクッと
 あちらこちらが膨れて溶けていきました。塩ビ樹脂という物の熱に対する弱さを目の前で
 見る事となりました。
  そして消火の水が掛かった瞬間にサッシ硝子が瞬時に熱割していく状況を目の前で見ました。
  そのような状況を見ながら各方向からの放水で鎮火していく様を一部始終見ることとなりました。
 このような経験をし自身の仕事と照らし合わせ思った事を次回の手記に書かせて頂こうと
 思います。


  
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