村上 嘉康
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無垢木材補修報告〜2  -2011.01.14-
  材木の種類によっても収縮乾燥原因における変形は違うように見受けられます。一般的に構造材で
 梁については一番多用される材種は米松(北米大陸で採れる大径木)と思われます。在来工法を
 主としているハウスメーカー、建売業者さん、工務店さん含めほとんどで使用されている材料かと
 思います。比較的安定して輸入でき、木材の中では強度も程々あり、価格も安く脂分が多く
 人工乾燥後の変形が少ない扱い易い木材といえると思います。
  国内産木材では、杉桧が圧倒的に入手がし易い材料と思います。但し桧は大径木が少なく高価な
 事もあり、梁材のように大きなサイズの材料としての入手は比較的困難かと思います。
  静岡での 「清水の家」 では、天竜地域に桧が豊富にあり、県産材振興の事もあって全て梁が
 桧で賄えた事は喜びでもあり驚きでした。但し、先程の米松に比べ単価は約3倍からサイズに 
 よっては10倍近くという高額ではありました。
  その他、民家建築でよく見る欅、地松がありますが、いずれも大量には入手困難である事と
 特に欅は大変硬く加工が困難である事と、何年経過しても環境が変わると目のよって暴れ出すと
 いった癖があります。
 
  さて今回のメンテナンスを施す杉の事になりますが、多くの大工さん達が御自身の経験から言われ
 ますが、材質として軟らかい事もあり(その分湿度調整をする調湿機能は木材のなかでも上位に
 入ります。)乾燥材であっても、取付後に痩せ易い材料といわれます。前回の手記で御紹介した
 写真がその典型的な症状かと考えます。  
  完成後1〜2年でこのような状況になり、その後の目視では、ほとんど変形を観察できません 
 でしたが、無垢木材の性質上、夏の高温多湿の気候の中では、湿気を吸って膨張し冬の乾燥下では
 湿気を吐き出し収縮をわずかながらに繰り返しています。
  そのような事から、あえて乾燥時期の11月を選んでメンテナンスを施しました。メンテナンス方法は
 隙間割れの大きなヶ所は似た目の杉材を埋木して、細い隙間割れの部分は収縮の少ないパテを
 色合せして埋めていく作業としました。
  仕上げは前にも御紹介した自然素材塗料であるオスモカラーのクリア、オーク、チークの3色を
 混ぜながら完成から既に7年半以上経過し濃色になった木材の色に合せながら塗布していく手法を 
 取りました。以下にその修復工事過程の一部をお見せ致します。
 
            修復前                     修復途中                     修復完了
 
            修復前                     修復途中                     修復完了
 
            修復前                     修復途中                     修復完了
 
            修復前                     修復途中                     修復完了
 
           修復前                     修復途中                     修復完了
            修復前                     修復途中                     修復完了


  
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